よく似た外見をした宝石はいろいろありますが、その中でも特にわかりにくいと感じるのがアクアマリンとブルートパーズです。
どちらも誕生石になっているポピュラーな宝石ですが、外見の違いは説明しにくいと思います。
見慣れてくるとある程度違いがわかってくるのですが、それでも分かりにくかったり、見ただけでは判断できないものも多くあります。
そんな両者の違いを見ていきましょう。
アクアマリンとブルートパーズの基本情報
まずは二つの基本情報を確認していきます。
アクアマリンの基本情報
鉱物名 | ベリル |
モース硬度 | 7.5〜8 |
劈開 | 不明瞭(一方向) |
屈折率 | 1.57-1.61 |
処理の有無 | 低温加熱 |
多色性 | 二色性(明)海水青色:無色 |
蛍光性 | 変化なし |
カラーフィルター検査 | 特有の黄緑色 |
主な産地 | ブラジル、パキスタン、アフガニスタン |
誕生石・結婚記念 | 3月の誕生石・結婚19周年 |
石言葉 | 聡明、沈着、幸福 |
アクアマリンといえば海に関する伝承が多く残る宝石で、古くから人魚の宝物と言われ航海のお守りとされてきました。
夜、ロウソクの光に照らされるアクアマリンはより美しく輝くことから、パーティ好きな女性に人気があったそうですよ。
アクアマリンの有名な産地はブラジルです。
ブラジルで見つかった特別に濃く深い海水色をしているものはサンタマリア鉱山の名前をとって「サンタマリアアクアマリン」と呼ばれています。
一般的なアクアマリンとは印象が違って見えますよ。
ブルートパーズの基本情報
鉱物名 | トパーズ |
モース硬度 | 8 |
劈開 | 完全(一方向) |
屈折率 | 1.61-1.62(Fタイプ) |
処理 | 放射線照射処理されているのが一般的 |
主な産地 | ブラジル、ロシア、スリランカ |
誕生石・結婚記念 | 11月の誕生石、結婚4周年 |
石言葉 | 希望、友情、繁栄 |
トパーズには(F)タイプと(OH)タイプの二つが存在しています。
ブルートパーズは(F)タイプで、色の濃さによってスカイブルー、スイスブルー、ロンドンブルーと分けられています。
アクアマリンとブルートパーズ|色の違い
アクアマリンとブルートパーズは、ものによっては色の違いがほとんどない場合があります。
ただ、“アクアマリンらしい色”、“ブルートパーズらしい色”はそれぞれちゃんとあるので、それを覚えて自分の中でイメージが出来上がると区別しやすくなりますよ。
アクアマリンの色は海水色&切ない?
アクアマリンは淡い海水色が特徴で、白い砂浜が続く浅瀬のような色をしています。
ネットで「白い砂浜」と検索すると、かなりアクアマリンのイメージに近い海の画像がたくさん出てきますよ。
また、物によってはグレー味やグリーン味を帯びていることもあり、色の印象が少し変わります。
グレー味を帯びたアクアマリンはどこか少し悲しいような、切ない色に感じますね。
濃い色ほどグレー味が出やすい傾向があるようですよ。
純色に近いものがより評価が高くなるアクアマリンですが、個人的にはどこか影のあるグレー味を帯びたものも非常に魅力的だと思います。
一般的な評価も知りつつ、自分の好みを探してみてくださいね。
サンタマリアアクアマリン
非常に濃く深みのあるアクアマリンのことをサンタマリアアクアマリンと呼びます。
もともとはブラジルのサンタマリア鉱山から産出されたものだけを呼んでいましたが、今は一定の濃さがあるもの全般を指して使われることが多くなりました。
ブルートパーズはブルー&クール?
ブルートパーズははっきりとしたブルーが印象的な宝石です。
基本情報でお伝えしたとおり、ブルートパーズの色は3つに分けられて呼ばれています。
【スカイブルー】
一般的なアクアマリンと特によく似ているのはスカイブルーと呼ばれる少し淡めのブルートパーズです。
爽やかな淡い色合いで、少し優しい雰囲気があります。
一番気軽に手に入りやすい色合いですよ。
【スイスブルー】
非常にインパクトがあるブルーが特徴のスイスブルーはスカイブルーよりも濃く、ロンドンブルーよりも鮮やかな色をしています。
常夏の空のような、底抜けに明るい雰囲気が魅力で、個人的にはパイナップルと似合うブルーだと思っています。
【ロンドンブルー】
ロンドンブルーは先ほどの2つと違い、インクを垂らしたような深く落ち着いたブルーをしています。
聞いた話では、ロンドンの空のような色合いだからこう呼ばれるようになったのだとか。
ジュエリーの印象によってエレガントにもクールにもなる色合いで、メンズジュエリーに加工してもかっこいいですよ。
アクアマリンとブルートパーズ|処理の違いと供給量
ほとんどのアクアマリンはグリーン味を飛ばすため低温加熱処理が行われています。
それに対しブルートパーズのほとんどは無色透明のものに放射線処理を行い、人工的に色をつけています。
加熱処理と違い放射線処理は大量に作ることが可能です。
そのためブルートパーズは大きいサイズでも比較的お手頃価格で購入できるのですよ。
アクアマリンも比較的大きめのサイズが見つかりますが、最高品質の色で透明感の高いものはそこまで多くありません。
アクアマリンとブルートパーズの見分け方
こちらはアクアマリンとブルートパーズです。
どっちがどっちかわかりますか?
このように見ただけでは判断できませんが、カラーフィルターと呼ばれる鑑別機材を使うとすぐにわかるんですよ。
これはカラーフィルターを覗いたものを写真で撮ったもの(加工処理あり)です。
宝石に白熱灯を当てながらカラーフィルターを通して見ると、アクアマリンは特有の黄緑色に見えるんですよ。
※白熱ライトも忘れずに!
アクアマリンとブルートパーズ|まとめ
アクアマリンとブルートパーズはよく似ていますが、処理の違いによって産出量が違い、価格にも違いがあります。
今回は2つの違いをご紹介しました。
見れば見るほど感覚的にもわかるようになってくるのが宝石だと思うので、ぜひいろんなアクアマリンとブルートパーズを見比べてみてくださいね。