産地は宝石の価値に大きく関わる要素の一つです。
同じ宝石種、品質であっても産地によって価格が10倍以上変わることはザラにあります。
なぜここまで価値が変わってしまうのでしょうか。
そして実際に身に着けるジュエリーは、どこまで産地を重視するべきなのでしょうか。
産地によってここまで価格差が出てしっまうことに疑問をもっている方もいらっしゃるかもしれません。
今回は産地の価値について書いていきたいと思います。
どうして産地によって価値が変わるのか

産地によって価格が変わるのにはどんな要素が関係しているのでしょうか。
これは宝石によって多少違いはありますが、大きく分けると3つの要素があります。
- 色、輝き、特性
- 採掘量
- 歴史
この3つはお客様にオススメする時に話す要素としても重要になっています。
❶色、輝き、特性が違う
同じ宝石であっても産地によって色のトーンや輝き方が違うことがあります。
これは産地によって宝石が育つ環境、母岩が違うためです。
宝石は母岩の中で成長していくわけですから、影響を受けるのは至極当然と言えるでしょう。
物にもよりますが、白色の母岩は鮮やかなカラーのものが、逆に鉄分が多く黒っぽいとそこから出来上がる宝石トーンの暗いものが多くなる傾向があるように思います。
同じ宝石であっても、特定の地域や鉱山でしか採れない色や輝きのものはそれだけ重宝され価値も上がりやすくなります。
❷採掘量
産出量が多いかどうかというのも大きな要素の一つです。
産出量が多いだけではなく、高品質なものが採掘されやすいかどうか、大きいサイズのものが取れやすいかどうかで産地のイメージが決まってきます。
やはり高品質なものが多く取れる産地は人気が高くなる傾向がありますね。
ただしお客様も販売員さんも「〇〇産=美しい」と勝手に思い込んでしまう場合があるので要注意です。
宝石の品質を判断するのは産地ではありません。
肉眼で見た時の透明度、カット、カラーで判断します。
販売員さんは産地に惑わされず品質をチェックできるようにしておきたいですね。
❸歴史
歴史的な鉱山で採れた宝石は他の産地のものより値段が高いことがあります。
これはその産地で採れた宝石が古くから愛されており、様々な逸話が残っていることが多いことや、王族や貴族が身につけていた宝石が採れた地域として名が通っているからと言われています。
例えば高品質なルビーで一番有名なミャンマー(モゴック地方)は6世紀ごろから採掘が行われてきたそうです。
ルビーの最高峰「ピジョンブラッドルビー」はもともとこの地域から採掘された最高品質ルビーに名付けられました。
昔はたくさんのルビーが採れたそうですが、今はミャンマー産ルビーの産出量が非常に少なくなっており、価格も高騰しています。
今やミャンマー産ルビーはブランドのようになっているんですね。
産地だけでなく宝石そのものの良さを伝える

お客様に産地についてお伝えする時はどうお伝えすればいいのでしょうか。
宝石を鉱物としてコレクションするのとジュエリーとして楽しむのとではこだわりの傾向は変わりますが、一般的にジュエリーとして楽しむのであれば、宝石の品質を気にしたいところです。
人気で価値の高いとされる産地だからといって、美しくない宝石をジュエリーとして使用しても、良いジュエリーはうまれません。
もちろん、コレクターアイテムとして産地にこだわりたい、自慢できるようなものが欲しい、せっかくなら品質だけでなく産地までこだわり抜きたいという方も多くいらっしゃいますし、そういった方には産地も含めたご提案をするのが良いでしょう。
ですがジュエリーとして楽しむことを重要視しているのであれば、必要以上に産地にこだわる必要はあまりないと思います。
必要以上に産地を推すのではなく、その宝石の良さそのものを伝えるようにしたいですね。