同じような見た目をした宝石って色々ありますが、「どう違うか」を具体的に説明するのは意外と難しいと思いませんか?
前回は赤色系宝石のルビーとガーネットを比較しましたが、今回は青色系宝石を比較していきたいと思います。
青色宝石の代表といえばサファイアですよね。
比較するのはタンザナイトです。
どちらも濃く深い青色が特徴でとても人気の高い宝石ですが、この二つにはどんな違いがあるのでしょうか。
基本情報、特徴、違いについてまとめていきましょう。
サファイアとタンザナイトの基本情報
まずは2つの宝石の基本情報を比べてみます。
結婚記念石や誕生石は覚えておくとジュエリーを提案するときに役立ちますよ。
他にも硬度や劈開の有無は安全に扱うために必要な知識なので覚えておきたいですね。
サファイアの基本情報
鉱物名 | コランダム |
モース硬度 | 9 |
劈開 | なし |
屈折率 | 1.76−1.78 |
主な処理 | 加熱処理 |
主な産地 | インド、ミャンマー、タイなど |
誕生石・結婚記念日の宝石 | 9月・5周年(23周年) |
石言葉 | 誠実・慈愛・徳望 |
見つかった時期 | B.C.700年ごろ |
タンザナイトの基本情報
鉱物名 | ゾイサイト |
モース硬度 | 6−7 |
劈開 | 完全(一方向) |
屈折率 | 1.68~1.73 |
主な処理 | 加熱処理 |
主な産地 | 東アフリカ(タンザニア) |
誕生石 | 12月 |
見つかった時期 | 1967年 |
サファイアとタンザナイトの色の違い
20世紀最も有名となった宝石の一つであるタンザナイトは、もともとはサファイアの代用品として注目され人気が出たそうですよ。
それぐらい最高品質のタンザナイトはサファイアにとても似ていますが、このふたつの色の違いはどこなのでしょうか。
両方を並べて見てみるとサファイアは混じり気のない青色をしていますが、タンザナイトは青色の中に少し紫がかった輝きが見えます。
これはタンザナイトは多色性が強いため。
角度によって青色・紫色・灰緑色の3色が見えるんです。
基本的にタンザナイトは正面から見た時の地色が青色になるようにカットしているので、違う角度から眺めると他の色がキラキラと見え隠れするんですね。
灰緑色は淡いので基本的に肉眼ではあまり感じませんが、紫色は深い青色の中にチラチラと輝いて見えます。
その様子は夜空のようで神秘的な魅力があります。
紫味を感じるタンザナイトに対し、サファイアは純色のブルーの中に様々な青色のモザイク模様が特徴です。
厳かで高貴な色合いは自分自身をワンランク高めてくれるような気がします。
タンザナイトの方が大きいサイズが手に入りやすい
サファイアはあまり大きなものが取れず、3ctでも大ぶりなサイズと言われたりもします。
さらに最高品質のサファイアは加熱処理をしたとしても全体の3%程度と言われています。
人気も高く美しいものはすぐに売れてしまうため、なかなか高品質なものを探し出すのも難しいんですよね。
それに対しタンザナイトはサファイアよりも比較的大きいサイズが産出しやすく、高品質なものも数が多いです。
おおよそですが、高品質なものの産出量は全体で10%ほどだそうですよ。
サファイアと比べると美しく大きなサイズが手に入りやすいのが嬉しいですね。
とはいえタンザナイトも最近は人気が高くなり、大きくて高品質なものはなかなかお目にかかれなくなってきました。
サファイアとタンザナイトの違いは歴史の古さ
宝石の歴史の長さも価値を高めている要素の一つとして挙げられます。
歴史が古い宝石であればあるほど多くの権力者、王族、著名人が身につけ、逸話や伝説が残っているものです。
例えばB.C.700年頃から知られていたサファイアはビクトリア女王の戴冠式の王冠に鎮座していたスチュアート・サファイアなど、歴史的な場面に登場することがありました。
タンザナイトはまだまだ歴史が浅い宝石でどちらかいうと、これから歴史を重ねて有名になっていく宝石というイメージですかね。
サファイアとタンザナイトは硬度・劈開性が違う
タンザナイトは硬度6-7と少し低めで、さらに劈開性があります。
劈開は結晶の特定の方向に割れ易い性質のこと。
衝撃を加えるとスパッと割れてしまうことがあるので衝撃を与えないように配慮するようにしましょう。
指輪よりもネックレスの方がぶつける心配がかなり減りますよ。
サファイアは劈開がなく、これといった弱点がない宝石です。
どちらにしてもジュエリーは繊細なものですから、ぶつけたり落としたりしないよう大切に扱ってくださいね。
サファイアとタンザナイト、甲乙つけ難い魅力を感じて
青色宝石の代表サファイアと20世紀の宝石を代表するタンザナイト。
よく似た宝石ですが、どちらも甲乙つけ難い魅力がある宝石でした。
ぜひ二つを見比べてその違いを堪能して見てください。