宝石の硬度は一般的にモース硬度を基準に、お客様にご提案することが多いと思います。
ですが、ぜひ知識として覚えてほしいのが「劈開」です。
劈開って何かご存知ですか?
ジュエリー販売で必要な知識ですが、文章だとあまりイメージが湧かないかもしれません。
私自身、本で読んだときはちんぷんかんぷんでした。
今回はイメージ図で解説いたします。
劈開=宝石の弱点
劈開は結晶だけに起こる現象で、打撃が加わった時に特定の方向に平行に割れたり、剥離する性質のことです。
「宝石の弱点」なんて言い方をされることもあります。
劈開の起こる方向、劈開によって出来た面を劈開面(クリベージ)と呼びます。
結晶によって劈開する方向は決まっていて、中にはいくつもの方向に劈開が起こるものもあります。
どうして決まった方向に割れてしまうのでしょうか。
それには結晶構造が関係しています。
劈開のイメージ図を書いてみました。
たくさんの人が集まって、隣の人と手を繋いでいます。
これが原子の結合だと思ってください。
手を繋いでいる部分(結合が強い部分)は力を加えてもなかなか離れることはありません。
ですが前後同士は手を繋いでいないで結合が弱く、簡単に隙間ができそうですよね。
このように結晶の中で強い方向と弱い方向があり、弱いところは衝撃が加わると割れてしまうんです。
劈開のある宝石を調べてみよう
どうでしょうか、劈開のイメージがなんとなく伝わりましたか?
今回のイメージ図はあくまでイメージなので実際の結晶構造とは全く違いますが、「劈開のイメージがなんとなくわかったよ!」と思っていただけたら嬉しいです。
劈開がある宝石は意外とたくさんあります。
ダイヤモンドの劈開:完全
硬くて有名なダイヤモンドですが、実は劈開があります。
ダイヤモンドの美しい原石は八面体をしていて、それに沿って強い力を加えると劈開が起こる可能性があります。
いくら硬度が高い宝石とはいえ、やはり大切に扱うことが大切ですね。