今回もよく似た宝石を比べていきたいと思います。
第3回目はグリーンの代表エメラルドと、グリーングロッシュラーガーネット(ツァボライト)です。
トルマリンやペリドットの方がグリーン系宝石として有名かもしれませんが、個人的にツァボライトが一番エメラルドに似ていると思うんですよね。
というわけでエメラルドとツァボライトの違いについてまとめていきましょう!
エメラルドとツァボライトの基本情報
比較する前に、エメラルドとツァボライトの基本情報を確認したいと思います。
よく似たグリーン色をしていても、データで見ると結構違うんですよ。
エメラルド
鉱物名 | ベリル |
モース硬度、靱性 | 7.5〜8 |
劈開 | 不明瞭(一方向) |
屈折率 | 1.57-1.61 |
主な処理 | 含侵処理 |
主な産地 | コロンビア、ザンビア、ブラジルなど |
誕生石・結婚記念日の宝石 | 5月、結婚20周年 |
石言葉 | 幸運、幸福、夫婦愛 |
ダイヤモンド、ルビー、サファイアと合わせて世界4大貴石なんて呼ばれています。
その歴史は古く3000年以上前から採掘されていて、クレオパトラが愛した宝石としても知られています。
グリーングロッシュラーガーネット(ツァボライト)
鉱物名 | ガーネット |
モース硬度 | 6.5−7.5 |
劈開 | なし |
屈折率 | 1.73−1.75 |
主な処理 | 特になし |
主な産地 | タンザニア、スリランカ、メキシコ、ロシアなど |
誕生石・結婚記念日の宝石 | 1月、結婚2周年 |
石言葉 | 真実、友愛、貞節 |
ガーネットといえば赤色のイメージが強いかもしれませんが、グリーン色のガーネットもあるんですよ。
グリーン系で人気が高いのはグリーングロッシュラーガーネット(ツァボライト)とデマントイドガーネットで、二つとも赤色系のものより希少性があります。
ちなみにツァボライトという名前は俗称で、1968年にケニアのツァボ公園で発見されたことからティファニーが名付けました。
エメラルドとツァボライト|具体的な色の違い
エメラルドは深く、そしてネオンのような鮮やかさもあるエレガントなグリーンです。
私はふくよかなグリーンと表現していますが、優しいだけでなくパンチのある色合いに感じることもあります。
おおらかで気品高いエメラルドは、女王様という言葉がぴったりの宝石だと思います。
それに対しツァボライトは竹林のような清々しいグリーンと表現できそうです。
エメラルドが女王様だとしたら、ツァボライトは平安貴族の女性といったところでしょうか。
もちろん人によって色の感じ方は違うので、自分が思う色のイメージを言葉にしてみると面白いですよ。
エメラルドとツァボライト|輝きの違い
エメラルドはインクルージョン(内包物)が多い宝石と言われています。
これは着色原因であるクロム(Cr)とバナジウム(V)の影響で、結晶時に無理を生じさせてしまっているためなんだそうですよ。
インクルージョンが多くなると透明度が低くなり輝きが落ちてしまうため、透明度の低いものはミルキーな印象になります。
屈折率もツァボライトと比べると低いので、輝きも控えめに感じるかもしれません。
エメラルドに対してツァボライトは透明度が高いものが多く、屈折率も高いのでキラキラ感が強いです。
一般的なエメラルドがミルキーなイメージであれば、ツァボライトはすっきりした印象、と表現するとわかりやすいかもしれませんね。
処理の違い
エメラルドはオイルや透明な樹脂をエメラルドに染み込ませる処理を行います。
これは市場に出回っているものは99%行なわれているとも言われていて、エメラルドではごく一般的な処理です。
無処理のものは通称「ノンオイル」と呼ばれ希少なため、貴重とされています。
ツァボライトは今のところ人工的な処理を行っているものはあまり見かけません。
産地の重要性
エメラルドは産地によって価値が変わる宝石で、特にコロンビア産は最高品質の色が取れるということで人気があります。
個人的には青味のあるザンビア産が好きですが、そんな風に産地によって特徴の違いを楽しめるのが嬉しいですね。
鑑別機関によっては産地証明も取れるますよ。
逆にツァボライトは産地で価格が変わることはあまり聞きません。
グリーン系の宝石に癒されて
いかがでしょうか。
同じ色の宝石でも見比べてみると全く違う美しさがあります。
ぜひ皆さんもエメラルドとツァボライトだけでなく、他のグリーンの宝石も見比べてみてくださいね。